1988年(昭和63年) ベストセラー作家雛
1986年に出版された安部譲二さんの『塀の中の懲りない面々』、1987年に出版された俵万智さんの『サラダ記念日』が共にベストセラーとなり、大きな話題となりました。
『塀の中の懲りない面々』は、安部譲二さんがヤクザとなって刑務所で服役した時の体験を元に描かれています。「懲りない○○」は流行語に選ばれました。
俵万智さんの『サラダ記念日』は、素直な感情を若い感性でつづった短歌集で、現代口語短歌を代表する本となりました。
さて、2006年度はどんな本が売れたのでしょうか。
情報共鳴体TOHANが発表した『2006年 年間ベストセラー』は、
- 『国家の品格』 藤原正彦
- 『ハリーポッターと謎のプリンス』 J.K.ローリング、 松岡佑子 訳
- 『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』 リリー・フランキー
- 『えんぴつで奥の細道』 大迫閑歩 書、 伊藤洋 監修
- 『病気にならない生き方』 新谷弘実
『東京タワー』は、先週から速水もこみちさん主演でドラマが始まりましたね。
ドラマの影響でまた本が売れそうです。
『えんぴつで奥の細道』は、松尾芭蕉の「奥の細道」を鉛筆でなぞって書いていく本です。
このような本や、ぬり絵の本が最近大人の間で流行しています。
さらに、任天堂DSの脳トレなど、気軽に知的好奇心を満たすものが流行しています。
この状況を精神科医の香山リカさんは、今月号の「創」で、日本人の知的劣化が進んでいると論じていました。
昔はみんなもう少し難しい本を読んでいたはずなのに、知的好奇心を満たす活動でさえも、楽な方へ楽な方へ流れていってしまっているのだと・・・。
楽に読める携帯小説(携帯を使って書かれた小説、作者は主に女子高生などの若い女性)も流行っていますし、この状況はこれからも進んでいきそうです。
このような知的好奇心を簡単に満たせるものがあるのは、とてもいいことだと思います。
でも、日本の大多数の人がこのようなものを支持しつつあるというのは問題かもしれません。
‘特別’であった簡単に読める本が、主流になってしまうような状況になれば、日本の文化レベルが下がっていくことになりかねないかも・・・。