三分の一 八竜鎧飾り
武家の統領として名高い源氏の一族には、代々伝えられる8つの鎧があったという伝説が残っています。
この8つの鎧は「源氏八領」と呼ばれ、現在は「楯無(たてなし)」と呼ばれる鎧のみが唯一現存しています。
伝承される源氏八領の一領である、この「八竜」は、源為義(みなもとのためよし)の八男、源為朝(みなもとのためとも)に与えられ、平治の乱では、源義朝(みなもとのよしとも)の長男義平(よしひら)が着用したと言われております。
「八竜」の鎧は名前の通り、八頭の竜が鎧と甲に施されております。鍬形台、鳩尾板・弦走、射向袖に金色に輝く竜の姿が勇ましく、鎧の上で舞う様です。
通常、鎧兜の威は正絹で編まれることが多いのですが、この「八竜」は正絹の変わりに全て鹿皮で編み込まれています。また、皮独自の光沢感によって鎧全体に奥深い輝きがあります。
この鎧兜の最大の特徴は、兜の額には鍬形ではなく、1頭の竜が飾られているところです。竜は神獣・霊獣であり、中国では古来より皇帝のシンボルとして扱われてきました。
天高く舞う、竜のような姿に、お子様の健やかな成長を願う、鎧兜です。