雛祭りの楽しみ
三月三日は「桃の節句」と呼ばれ、女の子の成長を祝う催しが全国で繰り広げられます。
現在では、女の子が誕生すると初めての節句に雛人形を贈るのが一般的な習わしで、人形を飾り、桃の花を中心にした春の花を活け、白酒や菱餅をお供えします。
春先のこの時期はちょうど潮干狩りの始まる季節にあたるので、採れたての蛤を使った椀ものやちらし寿司がご馳走。
若くやわらかなヨモギを摘んで草餅を作るもの古くからの習慣です。
祝いごとだからとお赤飯を炊くところも多いことでしょう。
いかにも春めいたこの行事は、昔から女の子、いえ女性にとって一年でいちばんの楽しみでした。
節分を過ぎた頃、母親がたいせつにしまっていた箱の中から雛人形を出してくれると、何やらワクワクした気分になったものです。
雅やかな衣裳をまとった古式ゆかしいお人形は女の子の憧れで、「触ってはだめよ」と注意されても手にとって愛でてみたくなったものでした。
自分の人形を自慢したり、招かれた友達の家の立派な飾りを羨ましく思ったり…。
春のこの時期、女の子なら「雛人形」の美しさにうっとりしながら年を重ねていくのではないでしょうか。
日本の女性にとって、人形と言えばまず雛人形というくらい、この行事は深く生活に根付いているのです。
出典
初めての木目込み人形〜雅やかな人形作りの手順を写真で解説(成美堂出版)
著者:二世 金林真多呂(真多呂人形学院)