端午の節句と言えば、五月人形だけでなく、「鯉のぼり」も欠かせませんね。
ところで、鯉の上にある「吹流し」ですが、「鯉は分かるけど、あのヒラヒラしているのは何?」と思う
方も多いのではないでしょうか。
今回は、その「吹流し」の豆知識をお届けいたします。
ちょっとマニアックな豆知識、吹き流しの謎
仏事を連想させるので、白と黒を置き換えているものも多いですが、吹流しは、3匹の鯉の上でたなびく青・赤・黄・白・黒の五色がもともとの形でした。
古来中国から伝わった「陰陽五行説」では、自然の道理を五つに分けて考えています。
この五行が循環することで、宇宙の法則と安定が保たれる、森羅万象の全てを表す節理とされています。
五節句や節分、土用うなぎの日から炬燵開きまで、日本の文化には五行説が関わっています。
ちなみに、この五行に陰陽の月と日を加えたものが一週間です。
ちょっと探せば、今でもあちこちで五行が発見できそうですね。
さて、端午の「端」は「端っこ」、すなわち「最初」の意味です。
「午」は「午(うま)の日」、つまり五月最初の午の日に行われる行事ということです。
節分などに代表されるよう、こういった「端っこ」や「節目」には、各季節の自然のパワーが弱まり、鬼門が開いて邪気が入り込みやすいとされていました。
また五月は「物忌みの五月」と言われ、五月病なんて言葉もあるくらい、心身の調子を崩しやすい時期です。
そこで森羅万象全てを表す五行の吹流しを天に掲げ、安定した強い力をもって、子供の健康を祈ったのです。
※写真は真多呂人形の五月人形「引上げ(本金)」です。