平安の美を求めた、真多呂の新たな木目込み人形
現在の木目込み人形の世界
こうして数多くの人形制作ができるようになった木目込み人形は、さらに発展していきます。
二代目名人、吉野喜代治の手法を伝授し、現代の木目込み人形を確立したのが、初代金林真多呂です。
彼は喜代治のほかに、同時代の名人春山からも伝統技法を受け継ぎ、二人の師の教えに自分自身の創意を加えて、「真多呂人形」を完成させました。
真多呂人形は、これまでの浮世絵、歌舞伎物、あるいは童物のほかに、平安朝の美を題材にした平安絵巻の雅やかな世界のものまでも表現しています。
また、人形の大きさもやや大きめにして、いままでの木目込み人形のイメージを一新して、現在の木目込み人形の世界を築きました。